夫が家を出た。場所も教えてもらえなかった。
それでも私は毎日、仕事に行かなければならなかった。
笑顔を作りながら、心の中で泣いていた。
第3話は、5キロ痩せた別居の半年間のことを書きます。
夫が出て行った。場所も、教えてもらえなかった
離婚宣告から少し経って、夫は家を出た。
別のところに部屋を借りたと聞いた。でも、どこなのかは教えてもらえなかった。
夫がいなくなった家は、静かだった。いつもより広く感じた。その静けさが、怖かった。
別居は終わりじゃないと、後から気づく。
でもあの夜は、終わりにしか見えなかった。
仕事中も、顔に出さないようにすることがしんどかった
職場の人には、離婚宣告されたことを話していなかった。
話せなかった。どう説明すればいいか分からなかったし、心配されるのも、変に思われるのも、どちらも嫌だった。
だから毎日、普通に出勤した。笑顔を作って、仕事をした。「最近どう?」と聞かれれば「普通ですよ」と答えた。
「旦那さんは最近どう?」
そう聞かれるたびに、胸が痛かった。
何事もないように答えながら、心の中では泣いていた。顔に出さないようにすることが、一番しんどかった。
夜勤明けに家に帰ると、誰もいない。その静けさの中で、ようやく泣けた。夜ごと泣いているうちに、気づいたら5キロ痩せていた。
連絡をやめられなかった——離れていきそうで、怖かった
別居中、連絡は私からしていた。
夫から来ることはなかった。でも連絡をやめたら、本当に離れていってしまいそうで。だから送り続けた。
返ってくる言葉は、冷たかった。短い返信か、既読だけか。それでも連絡せずにはいられなかった。
ある日、胃腸炎になった。
つらくて、夫に連絡した。心配してくれるかもしれないと思って。
何もなかった。
返事すら、来なかった。
そのとき初めて、はっきりと分かった。
本当に、心が離れているんだ。
泣いた。でもその涙は、少し前とは違う種類のものだった気がする。「どうにかして引き戻したい」じゃなくて、「現実を見なければ」という涙だったのかもしれない。
「変えられるのは自分だけ」——何度聞いても、腑に落ちなかった
別居中、夫婦関係についてのYouTubeやインスタ、ブログを読みあさった。
どれを見ても、同じことが書いてあった。
「他人を変えることはできない。
変えられるのは、自分だけ。」
頭ではわかった。そうだよな、と思った。
でも、腑に落ちなかった。「じゃあ具体的にどうすればいいの?」「自分を変えるって、何をすればいいの?」——答えが見つからなかった。
それでも見続けた。読み続けた。泣きながら画面をスクロールした夜が、何度もあった。
すぐには変われなかった。でも、あの半年間に積み重ねた言葉たちが、後から少しずつ効いてきた。種を蒔いていたんだと、今は思う。
次の話では、カウンセリングのことを書く。
ひとりで抱えることをやめた日のことを。
第3話のまとめ
