「謙遜」は日本では美徳とされています。でも、子どもの前での謙遜が、知らず知らずのうちに子どもの自己肯定感を下げていることがあります。
私の母は、悪気なく私のことをマイナスに言う人でした。そして私自身も、子どもを褒めてもらったとき、反射的にマイナスな言葉を返してしまう癖がありました。
「家でいくら褒めても、外での言い方も子どもに届いている」——そのことに気づいたのは、ある出来事がきっかけでした。
この記事では、謙遜と子育ての関係について、私の体験をもとに正直にお話しします。
日本の「謙遜文化」と子育て

「お子さん、優しいですね」と言われたとき、あなたはどう答えますか?
「ありがとうございます」と素直に受け取れる人は、実はそれほど多くないかもしれません。「いえいえ、うちはまだまだで…」と、反射的に謙遜してしまう方も多いと思います。
大人同士の会話の中での謙遜は、相手を立てる日本の文化です。でも、それが子どもの目の前で繰り返されると、話は変わってきます。
子どもは、親が自分のことをどう言っているかを、ちゃんと聞いています。
子どもの前での謙遜が、自己肯定感に影響する

子どもは、親の言葉を通して自分の価値を学びます。
「うちの子、本当にドジで」「全然できなくて困っています」——親が謙遜のつもりで言っていても、子どもにとっては「自分はダメな子なんだ」というメッセージとして届いてしまうことがあります。
特に幼い子どもは、言葉の裏にある「謙遜」という文化的な意図を読み取ることができません。言葉をそのままの意味で受け取ります。
自己肯定感の土台は、幼少期に作られます。「自分はできる」「自分には価値がある」という感覚は、親からの言葉と態度によって育まれていくんです。
私自身が「謙遜グセ」を持っていた

振り返ると、私の母もよく謙遜する人でした。それも、悪気なく自然に。
たとえば母は、夫と話すとき、夫を褒めながら私を下げることがあります。
「〇〇(私)は料理とかできないし、教えてきていないから。〇〇くん(夫)はすごいねー」
夫を立てているようで、その裏に「娘はできない」という言葉がついてくる。さらに母は、孫(私の娘)に向かってこう言うこともあります。
「お母さんはダメだねー」
冗談っぽく、軽い口調で。でも受け取るのは3歳の子どもです。「お母さんはダメな人なんだ」という言葉を、そのまま受け取ってしまいます。
母に悪意はないと思います。でも、子どもは大人の言葉の裏にある「冗談」や「謙遜」の意味を読み取ることができません。言葉をそのままの意味で吸収していきます。
そして気づけば、私自身も同じことをしていました。
保育園の先生から「トイレ、保育園では失敗しませんよ。すごく急成長しています!」と言われたとき、私はこう返してしまったんです。
「家ではまだ失敗しちゃうんです…」
先生は娘を褒めてくれていたのに、私は反射的にマイナスな情報を付け足してしまった。褒め言葉をそのまま受け取れず、謙遜で返してしまう癖が、私にもしっかり受け継がれていたんです。
しかも「ダメ」という強い言葉ではないから、気づきにくいのが厄介です。「まだトイレが完璧じゃなくて」「まだ〇〇ができないんですよね」——一見ふつうの会話に見えても、できないことばかりに注目した言葉を積み重ねていました。
子どもはできていることより、できていないことを言われ続けると、「自分はまだダメなんだ」という感覚が育っていきます。でも逆に、できていることに注目した言葉をかけ続けると、「自分はできる」という自信の土台になっていきます。
「まだできない」ではなく「ここまでできるようになった」。その視点の切り替えが、子どもの自己肯定感を守ることにつながると気づいてから、外での言い方を意識するようになりました。
自己肯定感の低さが夫婦関係にも影響していたことは、離婚危機を経験して初めて気づきました。「自分には価値がない」という感覚が、夫への依存や支配につながっていたんです。
家でどれだけ褒めても、外での言葉も子どもに届いている

家の中で「大好きだよ」「すごいね」と伝えることはとても大切です。でも、それと同じくらい、外での言葉にも気をつける必要があると感じています。
特に、親しい間柄になるほど気が緩んで、マイナスな発言が出やすくなります。気の置けない友人や、自分の親と話すとき——「うちの子まだできないんだよね」という言葉が、つい口をついて出てしまう。
でも、子どもはそこにいます。聞いています。
「家でいくら大好きと言っても、外でお母さんが自分のことをダメと言っている」——子どもはその矛盾を、ちゃんと感じ取ります。
謙遜と「自分を大切にすること」は、両立できる

謙遜を全部やめる必要はないと思っています。
でも、少なくとも子どもの前では、自分や子どもを否定する言葉を使わないようにしようと決めました。
褒められたら、「ありがとうございます」と受け取る。
「うちの子なんて」ではなく、「この子なりに頑張っています」と言う。
「私なんて」ではなく、「まだまだですが、少しずつ」と言う。
謙遜と自己否定は、似ているようで違います。相手を立てながら、自分と子どもの価値も守ることはできます。
子どもに自己肯定感を育てるために、まず自分から

子どもの自己肯定感を育てたいなら、まず親自身が自分を肯定する言葉を使うことが大切だと感じています。
「私なんて」をやめて、「私はこう思う」と言えるようになること。「どうせうちは」をやめて、「うちはうちのペースで」と言えるようになること。
完璧な親でなくていい。でも、自分と子どもを言葉で傷つけない親でいたい。そう思えるようになってから、子育てが少し楽になりました。
子育てや自分自身のことで、一人でぐるぐる考えてしまうときは、誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが整理されます。
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まとめ

謙遜は日本の美しい文化ですが、子どもの前での自己否定的な言葉は、子どもの自己肯定感に影響することがあります。
「うちの子なんて」「私なんて」という口グセを少しずつ手放して、自分と子どもを言葉で大切にすること。それが、子どもの「自分には価値がある」という感覚を育てる第一歩だと思っています。
自己肯定感と夫婦関係のつながりについては、こちらの記事にも書いています。
→ 自己肯定感が低かった私が夫を傷つけていた理由
→ 旦那にきつい言い方をしてしまう…直したいあなたへ
